第3章 ─ かくとだに ─
その途中で、とてもとても大事なことを思い出した。
これだけは『欲しい』と思うものがある。
それは──
「旦那様は好きです!誰にも譲れません!」
うん。旦那様に関しては欲深くなる。
誰にも渡したくないし、ずっと傍にいて欲しい。
「………………」
私の告白に、旦那様は驚いたように目を瞬いた。
それから、少し戸惑ったように視線を動かして、はにかみながら『ありがとう』と返してくれた。
………そこはいつもの甘い台詞のように『私もが大好きだよ』と言ってもらいたかった。
やっぱり贅沢だな。私!やっぱり旦那様のことになると、欲深くなってしまう。
私の思い出話に付き合ってくれて、どんな私も広い心で受け止めてくれる。
こんな優しい人が、私の大好きな人で…ああもう、本当に幸せで目が眩みそう。
そう思えば、自然と笑みが浮かんだ。