第4章 初恋
「何だ。覚えていないのか」
「いや。だから」
「鈴も実夢も小さい頃から
こうやって集まってるのを見てるし、
皆は憶えてるんだろうけど
鈴はね。人見知りが激しかったくせに
丸井君には人見知りもしなかったのよ」
「へ?」
そんなんだったの?
「確かに。真田を見るとよぅ泣いておったのぉ」
「うむ。今でも泣かれそうだが」
だって、弦ちゃん怖いんだもん
「そしたらね?3歳の誕生日の時に
大きくなったら何になりたいって聞いたら
"ブンちゃんのお嫁さんになりたい"って
そう言ったのよ」
「うっそ」
「嘘じゃないわよ」
「俺は構わねぇけどよぃ
年がなぁ」
「いーじゃん。年の差婚。あたし
ブンちゃんのお嫁さんになりたい」
「だってよ。柳」
それを言った後に固まっているらしいお父さん
ガヤガヤとしていたこの日の夜は
皆して止まっていくことになったが
仁王君夫婦は、あの3人がいるからと帰っていった