【東京リベ】Break down【三ツ谷隆】【ドラケン】
第12章 受け継ぐもの
「そっか。残念」
「俺は名前を抗争に巻き込みたくねぇよ」
「いくら強くても女だしな」
そうそう。
私一応、戸籍上フィーメルだからね。
「ってか、タケミっち。隆の隊に入ったの?」
「はいっス」
「そっか。あんたバイク持ってんの?」
「いや。持ってないっス」
「ふーん」
私は立ちあがると小物入れを漁る。
「タケミっち。はい」
「へ?え?鍵?」
「うん」
隆の隊なら、隆の身内も同然でしょ。
「使ってない原付の鍵。ちょっと遠いけど、バイク屋に置いてある」
「えっ?何で?乗っていいんスか?」
「隆の隊なんでしょ?ならいいよ」
「お前、マジで男前だな」
「ん?何で?」
「普通、バイク貸すか?」
「んー。乗ってあげないと、バイクが可哀想じゃん」
「何のバイクなの?」
「原付。ホンダのZX。駅に置いておいたらさ、ロック壊されて。修理に出してそのまんまだったの。だから乗っていいよ」
「ありがとうございます」
「受け継いだ時には、もうマフラーに穴開いててさ。だからマフラー音ブチブチなの」
「いいなー!カッケェじゃん!」
マイキーが私をキラキラした目で見る。