【東京リベ】Break down【三ツ谷隆】【ドラケン】
第2章 日常
side.三ツ谷隆
エマが帰った後、名前はまた勉強を始める。
コイツ。
基本いっつも勉強してるよな?
確か名前の学校って、偏差値が高い女子高だっけ?
俺はそのまま残って、食器を洗ったり。
掃除機をかけたりしながら、名前の観察をしていた。
ついでに名前の単車の洗車もする。
「隆」
「ん?」
勉強が一段落したのか。
バイクがピカピカになった頃、声を掛けられた。
「してもらってばっかじゃ、何か悪いし…手、出して」
「えっ?」
名前が俺に向かって、ポイッと何か投げる。
キャッチして、それ見るとバイクのキーだった。
「これって…」
名前の400FOURに、乗せてくれるってこと?
「言っとくけど、2ケツだから」
「マジ?」
「うん。嫌なら返して」
嫌じゃねぇし。
寧ろ嬉しいし。
「マジでいいの?」
「ふふっ。嘘ついてどうすんの?」
俺そんなに顔に出てたか?
名前が初めて笑った気がして。
その顔がめちゃくちゃ可愛くて。
不覚にも見惚れてしまった。
「あとメット。フルフェイスじゃないと乗せないからね」
「フルフェイスなんて。俺、持ってねぇよ?」
「私の予備貸すよ」
「サンキュ」
俺はニッと笑ってエンジンを温める。
すっげぇいい排気音がした。