【東京リベ】Break down【三ツ谷隆】【ドラケン】
第2章 日常
side.三ツ谷隆
5速までギアを入れる。
すげぇ馬力。
名前が一緒だと思うと、余計に気持ちよく感じた。
天王洲付近で、一旦バイクを止める。
「はぁっ…」
名前はパカッとメットを外すと、滴る汗をロンTの襟で拭った。
その姿が、妖艶で思わず固唾を飲む。
「隆。どうだった?」
「ん?ああ。すっげぇ良かった。さすが名前のマシンだな」
「隆が洗車してくれたしね」
だろ?
主婦ナメんなよ?
「なぁ?でもフルフェイスって、この時期暑くねぇ?」
「暑いけどダメ。教習所で習ったでしょ?」
「あー。俺一発だから」
「あっそ。それでもダメ」
橋に背を預けて、2人で涼む。
「私さ。父親を交通事故で亡くしてんだよね」
「だからフルフェイスに拘んの?」
「そうかも…安全第一」
そっか。
「なあ?」
「うん?」
「ここ。風が気持ちいいな」
「でしょ?オススメ」
名前は不思議だ。
一緒にいると。
何でか、すげぇ心地いいんだよな。