第9章 守るべきもの

　


「なあ？名前」

「何？」

「今度、集会があるんだ」

「ふーん」

「芭流覇羅っていうでかい所と、うちの族がぶつかるんだ」

「また喧嘩？」

「うん。まあ…そんなとこ…」





男ってほんとバカ。





「俺、一応親衛隊だから」

「親衛隊って何？」

「んー。皆の相談役みたいな…」

「ふーん」





まあ隆には合ってるんじゃない？

お節介だし。






「隆は何で族に入ったの？」

「何だろうな…俺は不良になりたかったんだ。つってもただの不良じゃねぇよ？家族を大事にする不良になりたかったんだ」





二カッと笑う隆。



良く分かんないよ。



家族を大事にするなら。

体に傷つくる不良なんか、ならない方が良かったんじゃないの？





「守るべきものを守る不良なら、カッコイイだろ？」

「………隆。好き」

「えっ？」

「大好き」

「何の冗談？」

「バカ。冗談でこんなこと言わないし」





ムカついたからプイッと顔を背ける。





「じゃあキスしていい？」

「………いいよ…」





そんなこと一々聞かないでよ。

何も言わないでキスしてよ。