【東京リベ】Break down【三ツ谷隆】【ドラケン】
第9章 守るべきもの
隆が「俺の名前」とか言うから、思わず吹き出してしまった。
しかも「吹っ飛ぶ」って。
確かに重量は大事だけど。
私は何メートル飛ぶのかな?って、変なこと考えちゃったの。
「何、笑ってんだよ」
「ごめん。何かおかしく」
「あ!いいこと思いついた!じゃあ、じいちゃんの道場で一緒に汗流そうぜ!」
「えっ?」
「それなら文句ねぇだろ?」
「往生際が悪ぞ。マイキー」
「だってスポーツじゃん」
「道場って、何の道場?」
「空手だけど」
空手…
それを聞いた瞬間、ヤバイと思った。
「ごめん。空手は…ほんと無理」
「何で?」
さっきから何で?何で?何で?って。
息を吸うと心臓が痛い。
苦しい。
涙が溢れそうになる。
「もういい加減にしてっ!何で?何で?って、どうして私を追い詰めるの!?」
痛む気管をぎゅっと掴む。
すると隆が私の異変に逸早く気づいた。
「名前?おい?どうした?」
「はぁっ…はぁっ…」
「名前っ!?大丈夫か!?」
ふらっと倒れそうになるところを、隆に抱き締められた。