【東京リベ】Break down【三ツ谷隆】【ドラケン】
第8章 好き
いつもなら単車で走れば、頭が空っぽになるのに。
今日は隆の顔がチラついて離れない。
なんかヤダな。
こういうの。
誰かの事を考えるのって、なんか慣れない。
あっという間に一時間が経ってしまう。
帰らなきゃ。
隆の所に。
ほらね。
また考えてる。
“ヴォンッ”
エンジンを止めて、自分の部屋を見上げる。
どんな顔して隆に会えばいいんだろう?
「………ただいま…」
「おかえり。メシ出来てるぞ」
「………うん…手と顔洗ってくる。」
まともに顔が見れない。
どうしても顔を背けてしまう。
「なあ?」
「………何?」
「さっきから何で、そんな風に俺を避けんの?」
「………分かんない…」
分からないから、私だって困ってるんだもん。
俯いている私を、隆がギュッと抱きしめた。
また顔に熱が集まる。
胸が破裂しそう。
「…昨日のアレ…嫌だった?」
「嫌じゃない…」
「じゃあ、何?」
「………分かんない…ただ…」
「ただ?何?」
私は言葉を選べる程、器用じゃない。
この思いを素直にぶつけていいの?