【東京リベ】Break down【三ツ谷隆】【ドラケン】
第7章 Break down
「随分と頑張り屋さんだったんだな」
その言葉に胸が締め付けられた。
『お父さんがお前を誇りに思う所はただ一つだけだ』
『何?』
『名前は粘り強く、頑張り屋な所だ。まあ頑固とも言うけどな』
涙が溢れそうになる。
習い事なんか苦じゃなかったよ。
友達と遊べなくても。
辛くても。
頑張ればお父さんが褒めてくれてたから。
誇りに思ってくれるなら。
「………隆…」
「ん?」
「お父さんのこと…話してもいい?」
「いいよ」
お父さんが死んだ日から、誰にも話さなかった。
ずっと心の内に秘めていたことを、ポツリポツリと話す。
「昔はね…単車が嫌いだったの」
「へぇ。意外。今じゃ考えらんねぇな」
「お父さんはバイク好きで、休みの日はずっとメンテしてた。だから遊んでもらえなくて嫌いだった」
レンチをどこかに捨てて来ようかと思うほど。
「そっか」
「たまに乗せてくれるけど、蛇行運転ばっかりしてさ。私が怖がるとそれを笑うの」
「うん」
「6歳くらいの時、千葉の九十九里浜で写真撮られてね。それが雑誌の見開きに載って、お父さん大喜びしてた」
「…いい親父さんじゃん」
そうだね。
本当に大好きだったの。