【東京リベ】Break down【三ツ谷隆】【ドラケン】
第6章 心
隆は苦笑いを残して、また台所に立った。
子供がデキたら、中退してでも産んで育てたい。
私の母は学歴主義で、今まで言う通りにしてきた。
でも隆に会って、そんなの必要ないって。
要らないって思った。
私はただ家族が欲しい。
お父さんみたいに。
温かい家庭を築きたいの。
『名前。大人になったら、絶対お父さんみたいな人と結婚するの』
『そうか。父さんより強くて優しい男の子を見つけろよ?』
『うん』
お父さん以上に好きと思える人はいない。
見つけられるとも思ってなかった。
だからお母さんが羨ましかったの。
お父さんみたいな人と出会えて。
お母さんみたいに教養を身につけて、勉強もした。
でもね。
お父さんのバイクが見つけてくれたんだよ。
優しくて、強くて、素敵な人。
隆と結婚できるなんて思ってない。
けど、そんな人との子供を授かれたら。
凄く嬉しいことだと思う。
「名前。起きれるか?」
「うん」
「お粥作ったから、少し食えよ。あとこれ薬な」
ほらね。
凄く優しいの。
一生“好き”なんて言葉を人に言うことないって思ってた。
けど違ったよ。