第6章 心

　


side.三ツ谷隆





「どうした？」

「…どこ…行くの？」





そんな不安気な顔すんなよ。





「台所。大丈夫。どこにも行かねぇよ」





名前は自分の行動を恥じたのか、布団の中に潜ってしまう。



はいはい。

暫く大人しくしとけよ。



頭を撫でて、立ち上がる。



やべっ。

忘れてた。





「なあ？今から言うこと怒んないで」





また噛まれそうで怖いけど。





「何？」

「俺さ。さっき…ナカに出しちゃったんだよね…」

「知ってる」

「怒んねぇの？」

「…うん…私…避妊具とか…持ってないし」





まあ、確かに。

お前はそういう世界とは無縁で生きてきたんだろうけど。



男としてどうなの？

って、普通は軽蔑するだろ。





「お前、男見る目ねぇな。こういう時は怒れよ」

「そうなの？」





キョトンとすんなよ。

殴られても当然のことしたのに。





「元気になったら、殴っていいぞ」

「やだよ。私の彼氏なのに、傷つけてどうすんの？」





なんか名前の方が男前だよな。