【東京リベ】Break down【三ツ谷隆】【ドラケン】
第4章 面影
「そんな身体で単車乗ってたわけ?」
「………」
そんなに叱らなくてもいいじゃん。
胸が“ズキンッ”と痛んだ。
「はぁっ…もういいよ。で?体温計は?」
「ない」
「はぁっ…ったく、お前は…」
隆は呆れたように溜息を零すと、俯く私をふわりと抱き上げた。
「うわっ!」
「軽っ!お前、体重軽すぎっ!大丈夫かよ!?」
マットレスに運ばれて、布団を掛けられる。
隆は笑顔で私の頭を撫でた。
何でそんな顔するの?
怒ってたんじゃないの?
私は不思議でその顔を見つめてしまう。
「…薬飲んで寝れば大丈夫…」
「だめ。ちゃんと看病すっから。お前ってさ、本当に面倒な女だよな」
そう思うなら放っておけばいいのに。
一人でも大丈夫。
いつもそうしてきたんだから。
「俺、ちょっと買い出し行ってくるわ」
「えっ?何で?」
「風邪でも食べれるもん作るの。あと体温計とか必要なもん買ってくる」
「………いいのに…」
「だめ。大人しくしてろよ?」
「………うん…」
隆は家にあった薬の箱を漁ると。
中に入っていた冷えピタを私の額に貼る。
そんなことしないでよ。
思い出しちゃうじゃん。
私を残して隆は家を出た。
その背中が父に重なって、不意に涙が溢れる。
「………お父さん…寂しいよ…」
何で死んじゃったの?
私は泣きながら眠りについた。