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【東京リベ】Break down【三ツ谷隆】【ドラケン】

第21章 隆のために


 


「ドラケン。お願いがあるの」

「ああ。何か言ってたな」

「私と握手してくれない?」

「ああ?」





ドラケンは怪訝そうに私を見る。


そりゃ、そうだね。

何の説明もなしに、いきなりこんなこと言ってさ。





“野菊の墓”





あれから何度も呪文のように唱えた。



エマに会いたい。

隆を、ドラケンを、ヒナちゃんを救いたい。



もう誰の涙も見たくない。





「お願い」





凛とした声で手を差し出す。





「何だか知らねえけど、握手だけのために呼び出したんならキレんぞ?」





時計はもうすぐ10時になろうとしていた。


急がないと間に合わない。





「説明は隆がする。お願い。急いでるの」





じっと目を見て、握手を乞う。

ドラケンは私に根負けしたように溜息を吐く。





「分かったよ」





ドラケンの手と私の手が重なった瞬間だった。



“プツンッ”と糸の切れるような感覚が走って。

私の意識は真っ黒になる。



そして目を覚ますと、8年前に住んでいたアパートにいた。


辺りを見回して、カレンダーを見ると。

本当に2009年と書いてある。



私、タイムリープ出来たんだ。


 
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