【東京リベ】Break down【三ツ谷隆】【ドラケン】
第21章 隆のために
10月31日。
現時刻は9時。
確か抗争は10時からだったはず。
私は何してたっけ?
家で待っていたよね?
単車で急げば20分で着くよね。
手が震える。
こんなの久しぶりだ。
「名前。大丈夫か?」
「うん。昨日ちょっと緊張で寝れなかっただけ」
「お前が緊張とか初公判以来じゃね?」
「そうかも」
「名前。安心しろ。昔の俺の方が、今の俺より強いから」
ヘラッと笑って見せる隆。
うん。
全部、分かってる。
私を心配してることも。
場地くんのことで心を痛めてるのも。
だから行くの。
隆のために。
自分のために。
“ピンポーン”とインターフォンが鳴った。
いよいよ私のリベンジが始まる。
「はーい」
私は玄関を開けて、ドラケンを迎え入れた。
「よぉ。久しぶり」
「久しぶり。隆もいるから上がってよ」
「おう。邪魔すんぜー」
ドラケンは勝手にリビングへ上がっていく。
「よぉ。三ツ谷。また髪形変えたのかよ」
「まあな。久しぶり。ドラケン」
2人が並ぶと、そこにエマの姿が思い浮かんで。
涙が出そうになる。
後悔してるのは、私だけじゃない。