【東京リベ】Break down【三ツ谷隆】【ドラケン】
第21章 隆のために
「隆?今話せる?」
「ああ。入っていいよ」
部屋に入ると、隆はデザインを描いている最中だった。
「ねえ?それ急ぎ?」
「いや、違うけど。どうした?」
「コーヒー淹れるから、休憩しない?」
隆の部屋では飲み物を飲まない。
デッサンが大事だから。
水分の類は持ち込まないようにしている。
「いいよ。行こう」
「うん。ありがとう」
私たちは二階のリビングに向かった。
コーヒーとカフェラテを淹れながら、話しをする。
「ねえ?隆」
「うん?」
「10月31日。ドラケンに来て貰うの」
「えっ?何で?」
「私が思うにね。ドラケンが一番後悔してると思って」
「そっか…」
隆にコーヒーを差し出す。
「過去に行く前に、何が遭ったのか。詳しく教えてくれる?」
「あっという間のことでさ。正直、よく分かんねえ」
「羽宮は場地圭介を刺したけど、その後、警察が到着して死亡を確認するまで45分あるの」
「ああ。場地な、刺された後。何人かとやり合って、それから倒れたんだ」
「うん」
「最後は自分で命を絶った」
「そっか」
それだけ聞ければ十分だった。