第8章 夢の後。
「…え??」
マジですか??
「何、ビックリしてんねん。」
そりゃ、ビックリするよ!!
ご飯行くって…デートやん!!
「う…うん。行く!!」
嬉しそうな私の声に、浩二君は、
前を向いて…一言。
「ちょうど電車やし。」
ん?…それって…。
「お前、トロいねん。ほら。」
一歩前を歩いていた浩二君。
前を向いたままで、後ろに手を差し出した。
ドキドキしながら、私は差し出された手を
ぎゅう~っと握りしめた。
「痛いわ。」
笑いながら、浩二君も強く握り返してきた。
「痛い、痛い~。」
こんな時間も愛おしくて堪らない。
ねえ…浩二君。
謎が解けたんやけど。
ご飯を誘ってくれるつもりで、
…わざわざ電車にしたんだよね?
今日のこの後、デートするつもりで、
…電車にしたんだよね?
…ホントのトコは、聞かへんけどね。
違うって言われたら、それはそれで
凹みそうやから…。
「凛。今度、遊園地行こか。」
私は、浩二君から一歩下がって、
手を繋いだまま、
「…二人で?」
小さくつぶやいた。
風に乗って、浩二君の匂いがする。
「おう。二人で。」
歩みを止めて振り向いた浩二君は、
優しく微笑んだ。