第1章 欲。
昨日は、あんまり眠れなかった。
何回も、何回も…浩二君との事を思いだしては、
布団の中で転げまわっていた。
夜、浩二君からメールがきたけど、
内容は、明日の待ち合わせ場所と
時間のみの味気ないものだった。
…えっ?これだけ?
あんな事したのに…?
触れられたら、触れたくなった。
手が届きそうな距離だと思ったから、
『欲』が出た。
もっと…近づきたくなった。
学校以外で会えるなんて…
依頼の事はもちろん忘れてないけど、
服装選びに…一時間かけてしまっていた。
「やばい。もうこんな時間やん。」
遅れるとばかりに、私は家を出た。
待ち合わせは、駅。
なんだか…デートみたいやない?
これって…。
駅に向かう私の足はすっごく
速足だった。