第45章 このまま犬になりたい✳︎不死川さん
「はぁ……災難だったぁ」
裸に羽織(しかも師範の)姿の私は、一人そんなことをごちりながら自分の部屋へと向かっていた。
歩きなれた廊下を進みながら思い出すのは、これまで見る機会がほとんどなかった”師範”らしからぬ師範の表情たち。
私はその一つ一つを思い出しながら
……あんな風に笑いかけてもらえるなら…もうちょっとだけ犬のままでいたかったかも
なんてことを考えてしまった。
けれども
……だめだめ!そんな甘っちょろい考えをしてるからあんなしょうもない血鬼術にかかるんだ!鬼の風柱の継子として恥ずかしくないように、もっともっと強くなって、鬼どもをぶちのめしてやるんだから!
邪念を払うように頭を左右に振り
「頑張るぞぉー!!!!」
爽やかな青空に拳を2つ突き上げながらそう叫んだ私のお尻は、後ろから見たら丸見えだったに違いない。
10日後
今度は猫の姿になり
師範と
”あんなこと”に
なる未来が
待ち受けていることなど
この時の私が
知る由もない。
〜To be continue〜