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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第44章 雨上がり種植えつけられる✳︎煉獄さん※裏表現有


……言い方が…あまりよくなかったかしら…


蜜璃ちゃんを抱いたまま、よいしょよいしょと杏寿郎さんとの間にある隙間を埋めていき


「二人きりなったらたくさんしていいですから…ね?ご機嫌を直してくださいな」


杏寿郎さんの左肩に、コテンと頭を預ける。杏寿郎さんはそんな私の顔を再びのぞき込んでくると


「今の言葉、しっかりと覚えておくように」


瞳をギラつかせ、艶を孕んだ声色でそう言った。

そんな様子に


「……っ…はい」


私の胸は、自然と高鳴ってしまう。


「そのまま抱いているのは疲れるだろう?それだけぐっすりと眠っていれば起きはしまい。こちらに渡すといい」


可愛い蜜璃ちゃんを手放すのは、なんだか少し惜しいような気もしたが、いつ起きるかわからない蜜璃ちゃんとこのままこうしているわけにもいかない。


「……そうですね。掃除も洗濯もしなくてはならないので、杏寿郎さんにお任せします」


私は杏寿郎さんの言葉に従い、蜜璃ちゃんを杏寿郎さんの方へ移そうと試みた。

けれども


「……あらあら。やはり小さくなっても蜜璃ちゃんですね。こんな小さな手なのに、全く外れる気配がありません」


蜜璃ちゃんの手が、ギュッと私の羽織を握りしめており、杏寿郎さんの方へと移すことが出来ない。

私は右手だけで蜜璃ちゃんの頭から身体にかけてを支え、左腕を羽織から抜いた。それから同じ要領で右腕も抜き


「すみませんが、蜜璃ちゃんを支えてもらっていてもいいですか?」


杏寿郎さんにそうお願いをした。

杏寿郎さんは”承知した”と言いながら蜜璃ちゃんの後頭部と背中に手を添え、その身体が私の膝から落ちないように支えてくれる。

羽織の襟を左右の手で掴み、スッポリと頭から抜くと


「よしと」


なんとか蜜璃ちゃんを起こすことなく、脱ぎ去ることに成功した。

杏寿郎さんはそのまま私の羽織ごと蜜璃ちゃんを受け取ってくれると


「器用なものだな」


感心したような表情を浮かべそう言った。


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