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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第42章 推すのに忙しい私を押してこないで*煉獄さん


「……え?」


あの覗き見バレから何故こんな展開になるのか。まったくもって理解できない私はなにもいう事が出来ない。

煉獄様は言いたいことだけ言って満足したのか目がくらんでしまいそうな程さわやかな笑みを浮かべ”またすぐ会いに来る!”と言って去って行った。




「………なんで?」



私はその後、しばらく玄関から動くことが出来なかった。
















”元気か柏木?”
”変わりないか柏木?”
”今日も愛らしいな柏木"
"また明日会いに来るからな柏木"


あれから煉獄様は、任務の合間を縫っては蜜璃様の邸にいる私の元へ現れるようになった(柱って忙しいんだよね?炎柱様だけ暇なの?暇なら蜜璃様と任務変わってよ)。

煉獄様の奇行に困惑及び混乱した私は大好きな蜜璃様について考える時間もうまく取れず、はっきり言って非常に迷惑だと思った。


助けてもらった恩はあるけど…もうこれ以上は我慢できない…!もう来ないで下さいって今日こそはっきり言ってやる…!


そう息巻いていた私だが、煉獄様の襲来直後、たまたま任務が中止になり戻って来た私の最推しこと蜜璃様のご帰還に、開きかけた口を急いで閉じた。

そこからの流れはまぁ酷いもので、煉獄様は満面の笑みを浮かべながら最近私と頻繁に会っていること、そして実はあの日羽織の下に隠れていたのが私だということを、蜜璃様にあっさりと告げてしまったのだ。


”煉獄さんとすずねちゃんがそんな関係だったなんて…私全然気が付かなかったわ…すずねちゃんたらどうして教えくれなかったの!?水臭いわ!……でも、大好きな二人が結ばれていたなんて私とっても嬉しい!”


なんてことを幸せそうに言う蜜璃様を前に


迷惑なのでもう来ないで下さい


と、煉獄様に言えるはずなかろう。


”わはは!そう言うことだ!なぁすずね!”

”………”


太陽のように明るい煉獄様の笑顔がどす黒いそれに見えたのは、絶対に、絶対に、私の目の錯覚なんかじゃない。


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