第8章 炎の音に包まれて【音好きシリーズ】※裏表現有
私はなんて意思が弱くて勝手な人間なんだろう。遊郭に行くと決意したあの時、雛鶴さん、マキオさん、須磨さんを助けられるのであれば自分の"初めて"がどうなろうと構わないと思っていたはず。それなのに。
初めての相手は炎柱様がいい。
炎柱様じゃないと嫌だ。
今はそう思っていた。
離れていく炎柱様の腕を
パシッ
と掴み、
「…お願いです…他の人じゃ…ダメなんです…!初めての相手は…炎柱様がいいんです…っ」
必死で"抱いて欲しい"と頼む私は、なんて恥ずかしい女なんだろう。
炎柱様はゆっくりと振り返り
「…っ!…何故…俺が…いいと…?」
私にそう問いかける。
「…っ言わないと…わかりませんか…?」
ここまで言って炎柱様が私の気持ちに気付かないはずがないのに。縋るような気持ちで見た炎柱様の目は
言って欲しい
と私に訴えかけているようだった。
あぁ。もうダメだ。
「…っ…好き…なんです…炎柱様の…ことが…っ…言わせないでよ…!」
絶対に言わないつもりでいた私の気持ちは
「…っ柏木は…強情が過ぎる…!」
コップから溢れ出した水のように
「…だって…私は…っ」
もう留めることが出来なくなってしまった。
炎柱様は
ギュッ
と、背骨が折れてしまうんじゃないかと言うほど私を強く抱きしめ
「…加減は…出来ない…」
耳元で熱く囁くと
「…っはい…」
私を再び布団に押し倒し
「…君はもう…俺のものだ…」
そう呟いた。
熱く蕩けそうな口付けを交わした後、
「…ん…や…っ…恥ずかし…」
驚くほどあっという間に着物を脱がされ、炎柱様は自分でもあまり触ったことのない私の胸の飾りをクニクニと摘み刺激している。
「…初めてなのに…すまないが…君の薬のせいで…俺はもう…理性が…焼き切れそうだ…悪いが…急ぐ…」
そういうと手を退け、今度は私の片方の飾りを口に含み、もう片方を更に指で弄る。
「…っ…んぅ…や…」
下半身がどうしようもなく疼き、私の身体の中心が熱く濡れていくのを嫌でも感じた。
「…下を…触る…」
炎柱様の手が、私の胸から下半身へと伸ばされ
クチュッ
「…いやぁ…っ…」
耳を塞ぎたくなるようないやらしい音が私の耳に届いて来た。
「…うむ…ちゃんと…濡れている…」
「っ言わないで…!」