第38章 呼び方なんてどうでも…よくない!*冨岡さん
私は、さりげなく河本さんの背中に手を回し”大丈夫ですよ”という気持ちを伝えるようにその背中をポンポンと2度叩いた。すると河本さんは、田中さんに向けていた視線を私へと向けてくれる。私はにこりと河本さんに向け笑顔を向けた後、田中さんへと向き直り
「私、義勇に…あ、ごめんね。彼にとっても愛されてるから、そんなもの必要ないし、好きな人を裏切るようなことはしたくないの。だから悪いけど、他の人に声を掛けてもらえる?」
余裕たっぷりな笑みを浮かべながらそう答えた。そんな私の言葉に
「……あっそうですかぁ」
そう言った田中さんは、不満げな表情をその顔に貼り付けながら”それじゃぁまたぁ”と次のターゲットでも探しに行ったのか、社食からさっさと出て行った。
私と河本さんは目を見合わせニコリと(ニヤリの方が相応しいかもしれない)笑いあった後、お皿に残っていたナポリタンを食べ、残り時間は楽しいお喋りの時間に使ったのだった。
それから私と河本さんは
ダブルデートを楽しむ程に仲良くなり
その後義勇と二人で
結婚式に呼ばれるほどの関係を築いた。
それをきっかけに
長年続いた義勇との関係に変化が訪れるのは
もう少し先の未来の話。
-完-