第8章 炎の音に包まれて【音好きシリーズ】※裏表現有
"遊郭に潜入している3人と連絡が取れなくなった。助けに行く為に俺も行ってくる"
そう天元さんから連絡が来たのが昨日のこと。私は慌てて鴉を飛ばし、雛鶴さん、マキオさん、須磨さんが居ないのであればと言って出てきた(天元さんとどうこうなることは絶対にないが、任務についている3人を差し置いて妻でも何でもない私が一緒に住む事がどうしても許せなかった)音柱亭を訪れる旨を伝えた。
「雛鶴さんマキオさん須磨さんと連絡が取れないってどういうことですか?」
私の問いに天元さんは
「言葉の通りだ。ある時から定期的に来ていた報告の手紙が来なくなった。最初は雛鶴、次は須磨、ついにはマキオだ」
拳をぎゅっと握りしめながらそう言った。
「…そんな…」
私が知る限り、3人とも優秀なくノ一だ。下手をしたら意識の低い鬼殺隊士よりも強い。そんな3人と、しかも全員連絡が途絶えてしまうなんて信じられなかった。
「あそこに隠れてる鬼は相当厄介だ。これ以上被害を広げない為にも、そして3人を救い出す為にも俺自ら行く。だから万が一、俺が戻らなかったらお前が「私も行きます」っ!」
天元さんは私のその言葉に珍しく驚いた表情を見せる。
「…お前、遊郭がどんな場所かわかって言ってんのか?」
そう言いながら天元さんは目をスッと細め私を見た。
「それ位…知ってます」
「男嫌いなお前が1番苦手とする場所だろうが」
その通りだ。お金で女の身体を買う。考えれば考える程ゾッとする。それでもだ。
「…私のそんな気持ちより…雛鶴さんマキオさん須磨さんの方がよっぽど大切です」
天元さんから目を逸らす事なくそう答えた私を、天元さんもジッと見る。
「お前がそう望むのであれば連れて行ってやってもいい」
「本当ですか!?」
「その前に、俺の質問に正直に答えろ」
天元さんはそう言うと、私の身体をまるで舐め回すかのようにじっくりと見た。
「…なんですか?」
そんな天元さんの視線に、私は思わず自分の身体を隠すように抱きしめてしまう。
「お前生娘だろう?」
カァッと頬に熱が集まった。
答えたくない。けれどもきっと答えなければ、この任務には参加させてもらえない。
「…っ…はい…」
私の顔は真っ赤になっていたに違いない。
「だよなぁ」
そう言いながら天元さんは頭をボリボリと掻く。