第35章 年下幼馴染は私より何枚も上手✳︎無一郎君
"おかえり…無一んむぅ…!?"
和装姿のままの無一郎が私の実家に現れ、私の言葉を奪うように甘い口付けを落としてくるまであと1時間半。
「無一郎、誕生日おめでとう。はいこれプレゼント」
「ありがとう」
「…どう?気に入ってくれた」
「まぁね。でも僕、どうしてももうひとつほしいものがあるんだ」
「え?何?」
「はいこれ。出してくるから記入して」
「…え!?これ……婚姻届けじゃん!しかも無一郎のところ書いてあるし!」
「そ。あとはすずねが書くだけ」
「…えっ…でも…」
「何か問題ある?おじさんにおばさん、それに僕の両親も、これで本物の親戚になれるってすごく喜んでたよ?」
「なにそれ…で、でもでも…そう!学校は!?」
「学生同士の結婚を許可するような学校だよ?互いの両親の同意が得られてれば問題ないって」
「…っそんな…」
「最終的には折れるんでしょ?だったら無駄な抵抗しないでさっさと僕を受け入れたほうがすずねのためだよ」
「…確かに…」
あっという間に言いくるめられ、あれよあれよという間に翌日には入籍を済まされ、私と無一郎の関係は”6歳年の離れた幼馴染”から”6歳年の離れた恋人同士”期間をほんの少し経て、”6歳年の離れた夫婦”に変貌を遂げたのだった。
こうなることは、きっと、ずーっと前、無一郎が私を好きになった時から決まっていたに違いない。
-完-