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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第34章 手紙とハンドクリームが起こした奇跡✳︎宇髄さん


初めてその歌声を聴いたときの衝撃は今でも鮮明に覚えてる。

クリアで伸びやかな、男性の歌声とは思えないほどのハイトーンな歌声に一瞬で心を奪われた。その日から、毎日毎日その人の歌声だけを聴いた。イヤホンから流れてくるその声はやっぱりいつでも素敵で、ちょっとエッチな曲も最初は驚いたけど、切なげに歌い上げられる曲たちとのギャップにさらに心を奪われた。

その内どうしても直接その歌声を聴いてみたくなって、電車苦手・人混み苦手・もひとつおまけに方向音痴の私が物凄い勇気を振り絞ってライブ会場に足を運んだのが3年前位のことだった。

そこまで大きくないライブハウスに、”☆HASHIRA☆”(このダサいグループ名だけは解せない)の音楽を楽しむために集まったんだと思えば、人混みが苦手な私もその空間を楽しむことができた。

最初の方はどんなに早い整理番号のチケットを手にしても、ただその歌声が楽しめればいいと一番後ろを好んで選んだ。背の高くない私にはステージで歌うその姿を見ることはできなかったけど、それでも、その歌声を聴ければそれでよかった。でもある時、珍しく指定席のライブがあって、たまたまその時の席がいい場所で、初めて歌っている姿を直接目で見ることが出来た。

それからさらに私の☆HASHIRA☆が奏でる音楽、そしてそのボーカルの天元さんへの気持ちは加速していった。


























「なんで…なんでなの!?」


余裕をもってライブ会場のある駅に到着したはずなのに、気が付けば開場30分前を切っていた。事前に地図も確認した。駅の出口もきちんと、ホームページに記載されていた通り東口から出た。駅の前にある地図で現在地の確認もした。手にはもちろん起動した地図アプリを持っている。なのに


「…ここは…どこなの…?」


地図アプリの通りに歩いている…つもりだったのに、さっきから到着予定時間は全く縮まらない。

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