第31章 2人で初めてのmerryXmas♡extra※裏表現有
「え?そうだったんですか?」
確かにこのロゼスパークリングワインは私が、赤ワインは杏寿郎さんが選んだものだ。けれども、杏寿郎さんは割と甘いのも、辛いのもなんでも飲む印象である。
…このロゼスパークリング…美味しくなかったのかな?
そう思いながら、グラスに残っていたワインを口にしてみた。
「…美味しいん…だけどな…」
私がポツリとそう呟くと
「決して美味しくないわけじゃない。だが、今日はやはり赤ワインの気分になってしまったんだ。無理して全て飲まなくとも、蓋をして後で飲めばいいだろう?」
杏寿郎さんはそう言って赤ワインを飲み出してしまう。
…でも炭酸の完全に抜けたスパークリングワインって…美味しさが半減しちゃうんだよな…よし。可能な範囲でなんとか飲んじゃおう
そう結論づけた私が空になったグラスにロゼスパークリングワインを注いでいると
「大丈夫か?」
杏寿郎さんが横目でチラリとこちらの様子を伺いながらそう尋ねてきた。
「…多分、まだ大丈夫です!美味しいうちに飲んであげないと、このワインが可哀想なので」
「そうか!俺も、こちらも飲むがそちらも飲むつもりだ!無理のない範囲で飲んでみるといい」
「はい」
きっと私はこの時
まんまと杏寿郎さんの罠にハマったのだ。
3杯目のワインを飲み終える頃には、私の頭はかなりフワフワとしてしまい、身体も顔もポッポと火照り、杏寿郎さんの腕にしなだれ掛かるような状態になっていた。
「今日は随分と進んでいるな!美味いか?」
「…ん…美味しい…でもちょっと…飲みすぎちゃったかもしれません…」
そんな私の頭を、杏寿郎さんの手が優しく撫でてくれる。その手が堪らなく気持ち良くて、もっとして欲しいと言わんばかりにその手に頭をグリグリと押し付けた。
「そんなことはない!ほら、君の好きな微発砲の甘い日本酒もあるんだ。もっと飲むといい」
杏寿郎さんはそう言って、一体いつの間に持ってきたのか、新婚旅行の時に訪れた旅館で女将にお勧めされ、あっという間に私のお気に入りとなった日本酒を取り出した。