第28章 雨降って愛深まる✳︎煉獄さん※裏表現有
ちゅ…ちぅ…ちゅっ
杏寿郎様の唇が私のそれにくっついては離れ、離れてはくっつく。こんな風に、何度も何度も、1度に唇を重ねることは初めてだった。
更には
「口をあけるんだ」
熱い吐息混じりの声で、至近距離で見つめられながらそう要求され
「…はい」
素直にそれに従う。
「いいぞ。舌を少し出せるか?」
「…ん…」
「うむ。上手だ」
杏寿郎様は満足げにそう言った後
ベロン
私のチロリと出していた舌を杏寿郎様のそれで舐めた。
「…っやだ…!」
あまりの恥ずかしさにパッと顔を背けながらそう言うと
「随分と可愛い反応だな。だが…」
杏寿郎様はそう言いながら私の顎を右手ですくった。その手つきは、街でそうされたのとは違いひどく優しいもので、恥ずかしさと同時に、背中が甘くぞくぞくとするような不思議な感覚に陥った。
「こんなんじゃ、俺はまだまだ満足できない」
その言葉を言い終わるや否や
ちぅぅぅ
再び唇を重ねられ
「…んぅ!?」
ちゅるりと熱く柔らかな杏寿郎様の舌が私の口内に侵入してきた。
ちゅ…ちゅるっ…
口内を隅々まで舐めまわすかのように動く杏寿郎様の舌と、逃げる事は許さないと言わんばかりに頭と背中に添えられた杏寿郎様の手の熱さに
…おかしくなっちゃいそう…
自分の全てを奪われているような、そんな感覚を覚えた。
ちゅっ
と、卑猥な音を立てて杏寿郎様の唇が私から離れていき、口の端から漏れた唾液を杏寿郎様が右手の甲で拭った。
「…っ…」
あまりにも情欲的なその様子に息をするのも忘れていると
「…引いてしまったか?」
杏寿郎様が僅かに不安げな様子でそう尋ねてくる。