第26章 私の全て、永遠に貴方のものです✳︎不死川さん※微裏有
私のお腹に実弥さんとの子が宿ったのは、初めて身体を重ねてから4か月後の事だった。そのことを実弥さんに伝えると
”…っ…そうかァ…。…よくやったなァ…”
そう言って私のひたいを前髪をくしゃくしゃにするように撫でまわした後、恐る恐る私の下腹部、まだなんの膨らみもないそこにそっと手を当ててくれた。
実弥さんが一瞬、ほんの一瞬、戸惑ったような顔をしたのを私は見逃さなかった。
けれどもそんなの当たり前だ。嬉しくないわけじゃないということも十分に理解している。だって私たちが一緒に過ごせる時間は、もう決まっていて、その事実はどんなにあがいても変えることは出来ないのだから。
それからの実弥さんの行動はまぁ早かった。全国の温泉を巡るという名の放浪の旅を止め、きちんとした住まいを構えようと急ピッチで家探しが始まった。探してもいまいちピンとくる場所がなかったのか、結局蝶屋敷と宇髄様達のお家の丁度真ん中辺りに位置する場所に、新しく家を構えることとなった。
”新しく家を構えるなんて…大丈夫でしょうか?”
お金や近所付き合い諸々…色々と心配になった私がそう尋ねると
”心配すんなァ。この場所は輝利哉様が俺たちのために探してくれた場所だかァ。俺がいなくなってからも、必ず平穏な暮らしを維持することが出来るはずだァ”
そう言った。
”…っそれは心強いです!でも、あんまり広い家だと、掃除するのも大変だし、小さな家でいいですからね!”
”わかってらァ。お前、他の事は良いが、掃除は下手くそだからなァ”
”あぁあ!実弥さんったら酷い!”
そんな経緯から、私たちは今この家で生活を送っていた。
「ほら、いくぞォ」
「はい!」
私たちはこれから、宇髄様の”久々にみんなで集まって派手に飲むぞ”という号令の下、1泊させてもらう準備をし、宇髄邸へと出発する。
実弥さんは当たり前のように自分と私の荷物を両方持ち、転んだら危ないからと私の手を引きながらタクシー乗り場まで行ってくれた。私が身ごもっていない状態であれば、実弥さんの背中に乗せてもらい、走って向かった方がよっぽど速い。けれども、その方法ではかなり揺れるし、実弥さんに限ってそんなことがあるとは思えないが、万が一私が落下しないとも言い切れない。