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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第25章 私をあなたの特別に✳︎宇髄さん


「…私を彼女にしてくれますか?」


私がそう尋ねると


「馬鹿。最後位ぇ、俺にかっこつけさせろよ」


天元さんはそう言いながら私にぐっと顔を寄せ


ちゅっ


かすめ取るように私にキスを落とし


「すずね。俺の女になって」


私の目をじっと覗き込みながらそう言った。


「……はい!」


私はそんな天元さんの首に腕を回し、ぎゅっと強く抱き着く。


…天元さんが…私を受け入れてくれた…!幸せでどうにかなっちゃいそう…!


そうは思ったものの、ひとつ気になることがあった。


「…あの…天元さん」

「なんだよ」


天元さんは私の頭を大きな手で、形を確かめるかのように優しい手つきで撫ででいる。


「…他の…女の子達は…その…」


口ごもりながらそう言っていると


「んなもん全部切るに決まってんだろ。つぅかここ一週間、他の女に会ってねぇし」


天元さんはまるでなんでもないことのようにそう言った。一方私は、天元さんのその言葉に驚き


「…嘘…?」


目を丸くしながらそう言ってしまう。


「嘘じゃねぇし。…誰かさんが来ねぇなんて言いやがってよ、それにめっちゃへこんでる自分に驚いてそんな気にもならなかったんだよ」

「…本当?」

「あぁ。情けねぇことにな。…っしと。そろそろ帰るか」


天元さんはそう言って、私の身体を離しベンチからすっと立ち上がる。それから私のことを見下ろし


「俺ん家来る?…てぃうか来いよ」


そう言った。

私の答えなんて考えるまでもなく決まっている。


「…行く」


立ち上がり、その太い腕に絡みつく私に


「…っとに可愛いやつ」


天元さんは優しい声色でそう言った。















物語の主人公になんて私はなれない
そう思って生きてきた。
でもあなたに会って私は変れた。
まだまだ足りない部分もあるけれど
あなたの隣にいるためなら
どんな努力だってする。
それにね
あなたを思う気持ちだけは
どんなきれいな人たちにも負けないから。
だからこれからも
どうか私を必要として欲しい。











「コンビニって近くにある?」

「あるけど、なんか買うのか?」

「…替えのショーツ」

「……そ」











今日から私はあなたの特別になったの。











-完-
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