• テキストサイズ

鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第4章 騒音再び【音好きシリーズ】


おにぎりを全て食べ終えた炎柱様と私は河原から立ち上がり、向かい合った。

「では俺はこのまま見回りに行く。君は帰って休むと良い」

「はい。お気をつけて」

そう言ったのにも関わらず、炎柱様は私の顔をじーっと見ており、動き出す様子がない。



その眼力でそんなに見られると…顔に穴が開きそう。



「…どうかしました?」

私がそう問いかけても、炎柱様は何も答えてはくれずただただ私を見続けている。

極めて居心地が悪い。

「…見廻り、行かないんですか?」

「行く」

「だったら早く行った方いいですよ。間もなく日が暮れます」

炎柱様はフッと空を見上げ

「そうだな」

と静かに言った。なのにも関わらずいまだに動き出す気配がない。本来であれば見送る立場だが、炎柱様がいつまで経っても動き出さないのだから仕方ない。

「それでは。失礼します」

頭を下げ、その場を去ろうとした私の頭に

ポンッ

とその大きな手が置かれた。

…何?この状況。

炎柱様は私の頭に置いた手を優しく動かし、私の頭を優しく撫でているようだった。

「…あの…なんです?」

炎柱様はニコリと私に微笑みかけ

「野良猫を手懐けた気分だ!」

わはは!

と、笑っている。

「………は?」

「では、気をつけて帰るように」

そう言って炎柱様は一瞬でいなくなった。





「…やっぱり…苦手かも」





口から出たそんな言葉に反し、私の頬はほんの少し緩んでいた。










炎柱様と共に列車の任務に就くまで後2週間。






-続-
/ 898ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp