第21章 おにぎり大合戦【さつまいもvs鮭】
私は食べ物の中で、圧倒的にお米が好き。
粒のたった炊き立てのお米なんて、おかずが何にもなくっても最高に美味しい。なんなら食べなくても、そのキラキラの米粒を見ているだけでも幸せ。
だけど、炊き立てのお米と同じくらい好きなものがある。それは、
任務終わりに食べるおにぎりだ。
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「柏木さん、お疲れ様でした!これで、鬼の残党も全て狩り終えることが出来たはずです」
そう言いながら、隠の女の子が、私が腕に負ってしまった切り傷に丁寧な応急処置を施して行く。
「一時はどうなることかと思いました…でも、無事死者が出ることなく任務を完了出来て良かったです」
「それもこれも、救援に駆けつけてくれた冨岡様のおかげですね」
そう言って隠の子が視線を向けた方向に、私も視線を向けた。
そこには、何故かポツリと所在なさげに立っている、水柱、冨岡様のお姿が。
厄介な鬼の頸を、やっとのことで切ることに成功し安心したのも束の間。私たちが油断し、疲れきるその時を待っていたと言わんばかりに、雑魚鬼たちが襲いかかってきた。
あ、もうだめかも
そう思った時、
「水の呼吸 参ノ型 流流舞」
驚くほど流麗な技で、あっという間に雑魚鬼たちの頸を切ってしまったのが、水柱であられる冨岡様だった。
あんなに綺麗な技…今までに見たことがない。
頭の中でその時の映像を再生すると、あまりのその美しさに
ほぅっ
とまるで恋をしてしまったかのように胸が熱くなった。
そう言えば、まだ助けてもらったお礼を言っていなかった。
そんな大事な事に気がついた私は、手当てをしてくれた隠にお礼を述べた後、水柱様の方へと急ぎ向かった。
「あの、水柱様」
私がそう声をかけると、水柱様は返事をしてくれることはなかったが、私の方にチラリと視線を寄越してくれた。
「私は階級"戊"、柏木すずねと申します。先程は、危ないところを助けていただき、ありがとうございました」
そうお礼を述べ、丁寧に頭を下げるも
「俺は自らの役割を果たしただけだ。礼を言われるような事はしていない」
なんとも冷たい返事をされてしまった。