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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第19章 あなたのためなら何でも【暖和】※裏表現有


"すずね!今すぐ会いたい!今すぐ迎えに来てくれ!"


「…へ?」


私は混乱していた。




























いつもなら、杏寿郎さんと2人で過ごす金曜日。けれども今日、私はマンションで1人、読めずにそのままになっていた本を読んでいる。なぜなら杏寿郎さんは珍しく、

"煉獄の誕生日を祝う会"

と言う名ばかりの、宇髄様主催の成人済み・元柱メンバー飲み会に参加しているからだ。

いつもは2人仲良くお酒を飲んだり、心ゆくまでイチャイチャする金曜の夜。


寂しくないって言ったらそうじゃないけど…たまには1人の時間っていうのも悪くないかな。


杏寿郎さんは

"帰りは何時になるかわからない。タクシーを捕まえて帰るから、すずねは気にせず先に寝ているといい"

と言っていた。けれども、私はいつも二人で寝ているベッドに一人で入るのは寂しく、カフェオレ片手に本を読みながら杏寿郎さんの帰りを待っていた。

時刻が11時に差し掛かろうとしていたその時、

ポロンポロンポロン


…ん?こんな時間に電話…?


私のスマートフォンが鳴り出す。杏寿郎さんは、会が終わってタクシーに乗ったらメッセージをくれると言っていたはず。なので、杏寿郎さんからの着信ではないと思っていた。けれどもスマートフォンの画面を見るとそこには


"杏寿郎さん"


の5文字。


…どうしたんだろう?

私は頭に疑問符を浮かべながらも、スマートフォンを操作し、杏寿郎さんからの電話を取った。



そして電話に出るや否や杏寿郎さんから放たれたのが、冒頭の言葉である。

「杏寿郎さん?どうしたんですか?タクシーが捕まらなかったんですか?」

私が杏寿郎さんにそう尋ねるも、

「タクシーは必要ない!今俺に必要なのはすずね!君だけだ!」

思わず片目をつぶってしまうほどの大声で、いまいち噛み合っていない返事が来るのみだ。

会話が噛み合わないことはたまに…いや、よくあるが、杏寿郎さんが自分でタクシーを呼ぶと言っておきながら、こんなにも突然私に迎えに来てほしいと言うのは明らかにおかしい。




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