第2章 ONE And ONLY2 (仁王雅治)
職員室前で進路希望の用紙にそれを書くと担任に出してきて
「なるほどな」って先生にまで言われた。
雅治と付き合っていることは、同学年の人たちは知っていると蓮二君が教えてくれたこともあって、先生も雅治の為なのだろうと考えているのかもしれない
「お待たせ」
「あぁ」
雅治は一緒にいる間は、よく手を繋ぎたがる。夏場は例外として
「何だ、出してきたのか」
「うん。雅治にも話して、大学に行くことにした」
「そうか」
手を放して、着替えに行った雅治をここで見送って
あたしは、テニス部の見学をする。
「これ、掛けときんしゃい」
そう言って渡してきた雅治のブレーザー
「いいの?」
「あぁ。まだ、寒いじゃろうが」
「ふふ、ありがとう」
「おん」
そう言ってコートに入ったと思ったらいきなり赤也との試合を始めた雅治。
「流石、ペテン師」
「そうだね」
「でも、あんなに楽しそうな雅治を見るのももうすぐ終わりなんだね」
プロになれば、それなりの苦労もあると思う。
「あぁ。きっと、それは仁王だけじゃない。
俺も、丸井達も同じことだよ」
「精市君?」
「蓮二もプロになるけど、大学に通いながら試合に出るんだって」
「は?」
「知らないだろ?」
「うん。初めて知った」