タイムカプセルの一ヶ月【リヴァイ/進撃の巨人/現パロ】
第5章 5
こういう場合は学級委員長をやっていた人が率先して掘り起こすのだと思うが、どうやら委員長は現在妊娠中で来れなかったらしい。
早く帰りたいという顔をした二人組の男性が、タイムカプセルの場所を適当に見つけて掘り起こしはじめていた。
ハガキをだした張本人のかつての担任の先生は、お気に入りの生徒との昔話に忙しく、掘り起こし作業については知らん振りだった。
グダグダな雰囲気のまま進行する。
15分ほど発掘作業が続いただろうか。
「あったぞ」
という声を合図に、みんなワラワラとタイムカプセルの方へ吸い寄せられた。
遠巻きに眺めることを決めた私の隣には、いつの間にかリヴァイが立っていた。
「よっ、モテ男」
「殺すぞ」
「うわ、怖。いいことじゃん。
可愛い子ばっかりだしさ」
「…」
めちゃくちゃ不機嫌だ。
このタイミングで出すのは気が引けたが、終わったらさっさと帰りたかったのでバッグから小さな包みを取り出した。
「リヴァイ、これあげる」
「なんだ?」
「紅茶。ここのやつ美味しいよ。
結局パラディで2回も奢ってもらっちゃったからさ」
紅茶は季節限定の苺がほのかに香る可愛らしいパッケージのものだった。
それを目線の高さまで持ち上げて、食い入るように見ている。
「リヴァイ、紅茶苦手だった?」
「いや、かなり好きだ。
すまない、気使わせちまったな」
「よかった」
前方で歓声が上がる。
どうやらタイムカプセルを開けたようだ。
一人一人の名前が呼ばれて、書いた本人へ手紙が渡される。
手紙を受け取った女の子たちがまたリヴァイの方へ寄って来たので、リヴァイは私から少し距離を取りながら
「終わったらココノツ公園で待ってろ」
と言った。
あーあ。賭けのこと覚えてるのね。
なんなら賭けもバックれて帰ろうかと思っていたのに。
軽く手をあげて「了解」の意を表した。