タイムカプセルの一ヶ月【リヴァイ/進撃の巨人/現パロ】
第4章 4
記憶を辿ろうとしたところでリヴァイが口を開いた。
「仕事してりゃあ誰だってミスなんてあるだろうが」
「うん、わかってるんだけどね。
自分を責めずにはいられないよ…」
チラッとリヴァイを見る。
黒い髪はいつもサラサラで、白い肌は男のくせに出来物一つもなく綺麗だ。
きっちりアイロンがけされたシャツと鍛えられた体が、リヴァイのストイックできっちりとした性格を表している。
何となく、いろいろとだらしない自分と比較をしてしまう。
「…リヴァイなんてミスしたことなさそうだよね。
仕事でつまづいた事なさそう」
「あ?」
「…」
しまった。失言だ。
八つ当たりも同然の言葉だった。
仕事をしている上でミスやトラブルが発生しないわけがない。
リヴァイだって色んなことがあった社会人生活だろうに。
慌てて弁解の言葉を探したが、呆れたようにリヴァイが溜息をついた。
「お前な…俺みたいな愛想のあの字も無え奴がトラブル抱えてねえ訳ないだろ」
「え?」
「まず『愛想が悪い』『目つきが気に食わない』なんて言われて担当外されたことなんざごまんとあるしな」
「そうなの…?」
真面目な顔をして聞いていたが、自分に愛想がないと自覚しているリヴァイのことが意外でちょっと可愛く思えた。
「ミスだって一通りやらかして来たし、社用車を壁に激突させて一台廃車にしちまったこともある。
得意先の接待で風俗に連れて行かれそうになったときなんか、相手のお偉いさんに殴りかかりそうになったしな…
エルヴィン…上司に止めなかったら、俺は今頃クビを切られてる」
「ふふふ」
堪えきれられずに笑ってしまった。
「リヴァイって、意外とめちゃくちゃだね」
「ああ、まあな」
私が笑ったのを見てか、リヴァイが安心したような穏やかな顔と声で言った。
「だからな、あんな死にそうな顔なんてするんじゃねえよ。
こっちの心臓が持たねえだろうが」
ああそうか。
これがリヴァイの励まし方だ。
なんで今まで忘れてたんだろう。
私は幼い時もこうやってリヴァイに慰めてもらってたんだった。