第6章 6
「まぁ、今日の夜から連れ出しても構わんかのぉ」
「それは、親に言ってよ。
どうせ何を言っても聞く耳持つか分からないけど」
「相変わらずじゃのぉ。月渚の両親は」
「そう言えば、日暮から
親の話って聞いたことないな」
部活そっちのけで話し込んでしまった
「へぇ。じゃあ、日暮って意外と転勤族の家なのかなぁ」
「恐らくね。
今までなかったのが不思議なくらいだし。
まぁ、お父さんは単身赴任してたけど」
「なるほど」
「なぁ、そう言えば気になってたんだけど
転入前日に言ってた
好きで東京(こっち)に来たわけじゃないっていうのは」
「本当よ?
だって、小学生のころから
雅治とは一緒だったし、中学に上がったら
立海のあのメンバーでしょ。それに赤也がいて
すごく仲のいい友人もいるんだもの。
そんな場所から離れたいと思わないわけがない」
「日暮は、それでもここに来たのは」
「親の反対があったから。
反対なんてなければ、今でも立海にいた」
「なるほど」
「えー?」