第2章 夢へのRestart
「え~!!?アイドルじゃないの???」
「うっ.....梅ちゃん!」
梅の驚いた声はファミレス中に響き渡った。視線が一斉に3人のテーブルに集まり、妓夫太郎ため息をつきながら頭を抱えていた。周囲の反応をやってしまったと見渡しては、居心地悪そうに肩をすぼめて舌を出す梅。
彼女はそのままの姿勢で真逆の凄く小さい声でマリナに尋ねた。
「えぇ??結局、あのままデザイナーとかスタイリストみたいなことしてるワケ???」
「これでも楽しくやってるのよ?やっとフリーで出来るようになったんだからね?」
二ィっと口角を上げて見せて、笑みを浮かべたまま目の前のグラスに手を伸ばした。
一方、それを聞いた梅と妓夫太郎は、顔を見合わせて「フリー?」と驚いた表情で呟いている。
「で、二人は今、どうしてるの?」
マリナから見て、二人が充実した楽しい生活を送っているように見えた。それは、彼らの表情や服装からも見て取れるし、雰囲気そのものも暖かく輝いているように思ったからだ。その理由が知りたかった。
「実はね。お兄ちゃんと一緒にダンスユニットしちゃってるよ?しかも、難関の鬼舞辻プロモーション受かっちゃて!」
梅の口から出た、”鬼舞辻プロモーション”とは”産屋敷芸能プロダクションと競い合ってる最大手の芸能事務所だ。マリナが世話になっていた宇髄宇随アパレル研究所は産屋敷芸能プロダクションからの仕事も多く請け負っていたこともあって、内部の事を少しは知っている。産屋敷芸能プロダクションの社長である産屋敷
耀哉氏が側近に引き抜きたいほどの信頼と有能さを誇る秘書がいるお陰で、闇が多い鬼舞辻プロモーションの正常かつ健全な運営が出来ているといっても過言でないことを。
大事な幼馴染。しかも、純粋無垢で流されやすい梅が、悪い事務所などに騙されることなく、ここまで昇り詰めることが出来たのも妓夫太郎がしっかりついててくれたのだ。そう思うとマリナは、最後のあったころから二人が変わりない関係でやってきたんだと、心が温まるのを感じた。