【R18】私の心は私のもの【リヴァイ/進撃の巨人】
第6章 三ヶ月後
葡萄酒のつまみになりそうなものを視線で探していると、ミケが近づいてくるのが見えた。
心なしか、ミケの鼻が忙しなく動いている。
長い足を活かしてあっという間にこちらに到達したミケは、やはり鼻をくんくんと動かして、あろうことか俺の匂いを嗅いだ。
「オイ、何の真似だ」
不愉快さを隠さずに言うと、ミケはすっと身を引いた。
隣でエルヴィンも目を丸くしている。
「最近、リヴァイは匂いが変わったな」
「あ?」
「なんというか、人間味のある匂いがするようになった」
「おいおいおい。テメエは今まで俺からどんな匂いを感じてやがったんだ。
と言うかだな、勝手に人の匂いを嗅いで分析してるんじゃねぇぞ」
エルヴィンは口元を押さえてプルプル震えている。
笑ってやがるのか。
「一時期は女の匂いが強かったがな」
「ああ?おい、それ以上言ったら命が無いと思え。あとエルヴィン。笑うんじゃねえ」
「なんだ、リヴァイ。良い人でもできたのか。よかったな」
「何がよかったな、だ」
保護者面しやがって。
思いっきり睨みつけてやろうかと思ったが、少し離れたところから
「なになにー!?なんの話ぃいい?!
おもしろそーう!!」
とハンジの声が聴こえてきて、舌打ちとともにその場を離れた。
人混みを抜けて、やっと腰を落ち着かせる。
残り少なくなった葡萄酒を飲みながら、ぼんやりと兵士たちの顔を見る。
食堂の兵士たちの中にポーラの顔が見当たらない。
ここ一ヶ月、作戦会議や物資の調達などで忙しかった。
ポーラのことはもちろん、寝食も忘れるほど働いていた。
壁外遠征からの帰還後は一ヶ月分の発散を求めるかのように性欲が湧き出ていた。
(今日は独り寝か…)
俺はポーラを探すのを諦めて、ジョッキの中身を一気に飲み干した。