第6章 三ヶ月後

この壁外調査で命を落としてもいいように、家族に手紙を書いて置いてきた。

身の回りのものも整理した。

１つ心残りがあるとすれば、もう一度だけ兵長に抱かれたかったということだろうか。


兵士になった。

心臓を人類の自由へ捧げて、身体を好きな人な捧げて、私はこの人生で本当に幸せだったのだろうか。



この1ヶ月あまりで、エルヴィン団長考案の長距離索敵陣形を徹底的に叩き込まれた。

傘を広げたような陣形を作り、巨人が出現したら信煙弾を打って団長に巨人の存在を知らせ、それによって団長が陣形を巨人から遠ざける方へ導く作戦だ。

長距離索敵陣形…

ここで私は緊急用の馬と並走し、最初の煙弾を確認したら連絡用の煙弾を打つ「伝達」の役目を任されていた。

ハッとして腰のあたりを探る。

煙弾砲…ある。ちゃんと持ってる。

持ち物は昨日から何回も確認しているが、何度も不安になり、今のように触ってはちゃんと持ってることを確認して安心する、ということを繰り返していた。