【R18】私の心は私のもの【リヴァイ/進撃の巨人】
第6章 三ヶ月後
馬の蹄が大地を蹴る
砂埃が舞う
外套が風になびいて、後方へ体ごと引っ張られる感覚がする。
まるで後ろ髪を引かれるかのように。
発った壁は遥か後方で、もう見えなくなろうとしていた。
今日は私、ポーラ・アンダーソンのはじめての壁外遠征だ。
遠征ではその度に3割を超える兵士の死亡があると聞いていた。
1ヶ月前から物資の調達や作戦の共有などで準備をして来たが、出立の今日まではあっという間だった。
心臓は早鐘のようにうるさい。
手綱を持つ手は、先程から震えっぱなしだった。
いつ、どこで巨人が出てもおかしくない。
今まで戦ってきたのは巨人の模型だ。
もし今日遭遇するのが奇行種だったら?
巨人に手足を噛みちぎられるのはどれだけ痛いのだろう?
目の前で仲間が喰われそうになったら、自分は動けるだろうか?
様々な考えを巡らせる。
心穏やかになる考えは1つも浮かんでこなかった。
壁外調査が決まってからのこの1ヶ月、リヴァイ兵長と会うことは無かった。
準備で忙しかったのか、私の体にもう飽きてしまったのか、どちらかだろう。
後者で無いことを心底願った。