【R18】私の心は私のもの【リヴァイ/進撃の巨人】
第5章 会議があった日
ハンジがこのあと用があるというのなら、片付けは早く終わらせてしまった方がいいだろう。
無言で書類を揃える作業を再開する。
それでも頭の片隅には「兵士」「妊娠」と両極端な2つのワードが頭にチラついていた。
そんな俺の様子を感じ取ったのか、ハンジがまた話しかけてきた。
「納得いかない、って顔かな?」
「あ?」
「ダフネの妊娠だよ」
「ああ…まあそうだな。
俺は兵士として生きることしか頭にねえからな。所帯を持つとか、ガキを作る、なんてことは御伽話のようにしか聞こえねえ」
「ふふ、御伽話ねえ」
「安い命と思われている俺たちの仕事は、戦って死ぬことだ。命を繋ぐことじゃねえ」
「でもリヴァイの子供だったら、すごーく強い子が生まれるんじゃない?」
「馬鹿言え」
きゃっきゃとはしゃぐハンジを一蹴する。
そうこうしているうちに資料も粗方片付いた。
あとは会議で使った馬鹿でかい机を拭き上げるとするか。
「おいハンジ、もう行け。
あとは俺が掃除する」
「りょーかい。ではお先に失礼しますよー兵士長殿ー」
部屋を出て行こうとしたハンジは立ち止まり、肩越しに言葉を投げかけてきた。
「でもね、リヴァイ。いくら個を捧げた兵士だからって、誰かを愛しちゃいけないことはないと思うよ」
「…あ?」
聞き取れたが、意味がよくわからずに聞き返した。
しかしハンジはそのまま部屋をあとにしてしまった。