【R18】私の心は私のもの【リヴァイ/進撃の巨人】
第2章 はじまりの日
その日は春だったから、ショックを受けて落ち込む私は、足元の小さな野花をぼんやりと見ていたことを覚えている。
小さな、青い花だった。
「…」
どれだけの時間そうして固まっていたのだろう。
いい加減下を見るのも疲れて顔を上げたときだった。
目の前を、毛並みの美しい黒い馬に乗ったリヴァイ兵長が通り過ぎていった。
一瞬だったがよく覚えている。
リヴァイ兵長の目には調査兵団の中で唯一、絶望ではなく、涙となって流れ落ちそうなほどの怒りや悔しさを孕んでいた。
(ああ、あの人はきっととてつもなく強いんだ)
馬上で凛と構え怒りを露わにするその人は、春の柔らかな日差しを浴びて美しく輝いて見えた。
一目惚れだった。
春風に靡く黒髪が、
日差しに透けるような白い肌が、
手綱を握りしめる骨ばった手が、
思い出す度に胸を切なく締め付ける。
それからは、思考のほとんどを「怒りの目をした調査兵士」に占領されていた。
あの人の役に立ちたい
あの人のそばにいたい
気づけば2ヶ月の月日が経ち、私は兵団に入団していた。