【R18】私の心は私のもの【リヴァイ/進撃の巨人】
第13章 最後の話
ポーラが来るまでに話の大筋の流れだけでも組み立てておこうと思っていたが、伝えたいことをピックアップするだけで時間が経ってしまった。
言葉を慎重に選びながら、ポーラの方を向かず、溢すように喋り始めた。
「前にも話したが、俺の一番古い記憶は古びた娼館で痩せ細った母親が、隣でゆっくりと死んでいくのを見ていた糞みてえな記憶だ。
母親が俺に何か言っていたと思うが、ガキの頃の記憶だ。母親が何を言っていたのか、まるで思い出せねえ。
いい加減母親の死体から嫌な匂いがして、虫なんかも湧いてきた頃、ケニーっていう得体の知れねえ男に拾われた。
ケニーから教わったことなんか、地下で生きていく上で必要なことばかりだ。ナイフの握り方、喧嘩の仕方…アイツはロクなもんを教えなかった。
アイツが俺の元から去ってからは、盗みや喧嘩をしながら地下で生きていた。
エルヴィンに兵団に入れられなかったら、俺はずっと地下で糞みたいな生活を続けていただろう。
兵団は、俺に人間らしい暮らしと、使命を与えた。
俺みたいなスラム出身の人間でも、兵士長なんて大層な役職を付けやがって…最初は上層部の正気を疑ったな。
しかし兵長、兵長と持ち上げられる日々はそんなに悪くはなかった。
いつの間にか俺には仲間ができて、部下ができて、そいつらを死なせないようにガムシャラに剣を振って、巨人どもの間を蝿みたいに飛び回った。
そんな日々だ。
そうやって俺は、今まで生きてきた」
「…」