【R18】私の心は私のもの【リヴァイ/進撃の巨人】
第12章 半年後
「二ヶ月ほど前です。お心当たりはありませんか?
ポーラがまたベッドを抜け出していたので、私は彼女を探しに出ました。
廊下で見つけた彼女は一人で泣いていました。私が理由を問い詰めても答えてくれません。
でも彼女は最後に言いました。
『私は私の大事な人の幸せを願っただけだ』って…」
興奮からか、エマが早口になり声も大きくなる。
その目には涙が浮かんでいた。
ポーラの気持ちを踏みにじり、今はエマの恋心にすら手をかけようとしている、そんな俺を心から非難する涙だ。
「ポーラが一人で泣いていたんですよ?
私たちにも隠れて、一人で傷ついて…!
なんで、どうして、そんな彼女を裏切ることができるんですか!?」
俺よりもさらにチビな新兵の女に、好きなだけ捲し立てられている。
その声は叫びに近かった。
けれども今は不愉快に思える余裕などなく、指一本動かせないほどに固まっていた。
血の気がひいて、身体中が冷たい。
何も言えない。
沈黙は全ての肯定の意を表していた。
それをコイツも悟ったのだろう。さっきまでの震えはどこへやら、淡々と続けた。
「リヴァイ兵長。確かに私は貴方をお慕いしています。
でもそれと同じくらい、私はポーラを友として大事に思っています。
貴方がポーラに片思いをして、それが叶わないのであれば私は貴方の部屋へ喜んで馳せ参じます。
でも兵長。ポーラは貴方のことを大切に思っています。友人だからこそわかります。
兵長、貴方もポーラを想っていますでしょう?貴方がポーラを見るときの目だって、慈しみに溢れています。ご自分では、気付かれていないでしょうが…。
そんなお二人の間に入ることなど、いくら上官命令であったとしても、できません」
「…」
「兵長。ご自分のお気持ちは、ポーラに伝えられましたか?」
「…いや」
「兵長がちゃんとポーラと向き合えば、済む話なんです」
「アイツには、もっと相応しい男がいる」
「誰ですか?それは」
「…」
「今そういう男性がいないのであれば、兵長がポーラに相応しくなればいいだけの話じゃあないですか」