【R18】私の心は私のもの【リヴァイ/進撃の巨人】
第12章 半年後
いや、俺じゃあダメだ。
ー俺は、覚悟をしている…
いつかのエルヴィンとの会話を思い出す。
俺は大事なヤツの命をいつでも切り捨てる覚悟でいる。
俺ではポーラを幸せにできない。
新兵は黙りこくった俺をじっと見つめていたが、見かねたのだろう、静かに問うてきた。
「自分に素直になってください兵長。
過去の誤りは正せるし、未来の運命は変えれます。
なら、貴方はどうしたいですか?」
「…!!」
目を見開く。
答えは一つしかなかった。
やっと顔を上ると、心配そうにこちらを見つめるエマと目があった。
格好悪いな。
この新兵はいくつ年下だ?
ガキのように説教されて、自分で自分をどうしたいかとそれこそガキみたいな質問をされている。
ポーラに会いたい。
認めたくなかったことがある。
俺は今まで、ポーラにガキのように甘えていた。
寝る前に聞こえる断末魔を、時折思い出す母親の細い手首を、打ち消そうとがむしゃらになってポーラを抱いていたんだ。
人類最強と呼ばれたからには、一人で生きていかなければと思っていた。
でも結局それも叶わない。
何度喪っても、生きている以上、大事な人が現れてしまう。
人と人を繋ぐ愛というのは、きっと弱さだ。
生への執着を生み、壁の内へ止まらせようとする。
その弱さが何よりも怖かった。
一人で勝手にそうやって怖がって、俺よりも強いポーラは、弱さから俺を守ろうとしてくれた。
それに気付かず、一人でぐるぐると抱え込んで…
そしてこのザマだ。
ガキに説教されてやがる。
「ハッ…情けねえ」
ようやく口から出た言葉に、エマはどこか安心をしたようだ。
「今夜、貴方の部屋へ行くようポーラに言っておきます」
「迷惑かけるな。気持ちを踏みにじるようなことをして、悪かった。」
「いいえ。
でも兵長。その代わりと言ってはなんですが
一つお願いがございます」
「あ?」
エマは穏やかな笑みをたたえて、口を開いた。