【R18】私の心は私のもの【リヴァイ/進撃の巨人】
第12章 半年後
「そうか。おいお前」
「はいっ!」
「今から俺の部屋に来い」
「は…えっ?」
「お前俺に気があるだろう。今から抱いてやる。部屋に来い」
エマとかいうこの女を抱いてやれば、ポーラは僅かに残っているかもしれない、俺への恋心なんて塵のように消え去るだろう。
よりにもよって友人と寝るなんて…アイツはそうやって憤るだろうか。
いや、アイツは自分の心をしっかりと持っている。
意外とにっこりと微笑んで、嫌味の1つも言わずに去るかもしれないな。
ポーラとの終わりを思い描く。
数秒経ったが、女は敬礼したまま固まっていた。
無理もない。
上官だからと言って、無茶苦茶なことを言っている自覚はある。
しかし顔色が青くなったり赤くなったりするものだと思っていたが、意外にもエマという新兵は段々と冷静さを取り戻して行ったようだった。
ゆるゆると敬礼を解き、意外なほど落ち着いた声で訊ねてきた。
「リヴァイ兵長、それは何故なのでしょうか」
「何故もクソもあるか。とにかく今からー」
「兵長とポーラは想い合った仲なのではないですか?」
「は?」
一番隠したかった人物の名前が相手の口から飛び出してきて、動揺する。
先程までゆらゆら揺れていた小さな瞳は、俺の奥底まで見透かすように真っ直ぐと据えられていた。
「私は、ポーラ・アンダーソンと同期であり同部屋であります。
かなり前からポーラが夜中にときどき部屋を抜け出していることを知っていました。
最初は何かこっそり訓練しているのだろうかと思っていましたが、昼間兵長をお見かけしたときに限って、ポーラは夜になるとベッドを抜け出していたのです。
リヴァイ兵長。こんなことは確認したくないのですが、始まりはポーラに手洗い場の掃除を命じたときでは無かったですか?
あの晩、遅くに戻ってきたポーラは酷く泣いていました。翌朝のポーラは誰から見てもボロボロでした。どんな掃除をしたってあんなに体を痛そうになんかしません。ポーラは隠しているつもりでしょうが…」