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【R18】私の心は私のもの【リヴァイ/進撃の巨人】

第11章 5ヶ月後


ガラガラと馬車の車輪が騒がしい音をたてる。

尻の下から来る振動は、車輪が道の小石を踏むたびに激しく俺の体を揺さぶった。


夜に街に出るなんていつぶりだろう。

飲食店から酒の匂いが漂ってくる。
往来を行く人々の喧騒が耳障りだ。


「ここでいい」
「へい、承知しました」


御者に声をかける。

小銭と僅かなチップを払って馬車から降りた。


大通りから少し離れ、裏路地を目指す。

人目から隠れるように立つその建物は、それでも立派な造りをしていて、その商売の繁盛振りを窺わせた。


扉を開けると嗅ぎ慣れた安い香水の匂いが鼻をつく。


「へえ、こりゃあ驚いた。
人類最強の兵士長様。
斯様なところに足を運んでいただけるなんてね」


声のする方に目をやれば恰幅のいい中年女性が俺を見つめて目を丸くしていた。


「俺を知っているのか…」
「そりゃあもう!
調査兵団のお膝元で生活させてもらってるんでさ。
兵士長様の顔を存じない訳はございませんねぇ」


喋るごとに真っ赤に染まった唇がひらひらと動く。

昔は女どもを束ねる娼館の主人というのは野郎しかいなかった。

けれどもこの中年女性の身なりからすると、珍しいことにコイツはこの娼館の女主人ということなのだろう。


「それで、どんな娘をお望みで?」


女主人は俺を値踏みするように頭からつま先まで目を滑らせた。


「髪がこのくらいの長さの…」


女主人に注文をする。

特に考えも無く娼館へ来てしまったが、口から出てくるのはポーラの特徴ばかりだった。

女々しい自分に心の奥底で舌打ちをする。


「なかなか細かい注文ですがね…
ちょうどいいのがいますよ。
8番の部屋でお待ちくださいな。すぐに向かわせますわ」


小さな鍵を手渡される。

まさか自分が娼館を利用することになるとは…
頭の片隅でぼうっと考えていた。


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