【R18】私の心は私のもの【リヴァイ/進撃の巨人】
第9章 4ヶ月後より前の話
「いいかい、お嬢さん。
今からアンタが聞きたくないことを言う」
「はい…」
嫌だ、聞きたくない。
けれども逃げることも、耳を塞ぐこともできず、じっとディモの紡ぐ言葉に耳を傾けてしまう。
多分ディモが今から言うことは、私が考えないように蓋をしていた残酷な未来だ。
「アンタがその男と寝てしまった時点で、その男はもうアンタには振り向かねえ。
男はな、簡単に手に入った女には惚れないような生き物なんだ」
「おい、親父…」
「黙ってろ、フレーゲル。
お嬢さん、アンタのためを思って言うがな、ソイツとはもう会わない方がいい。
アンタと、ソイツ、お互いのためだ。
ソイツを支えたいとせっせと下半身の世話をしてもな、意味ないんだよ。
アンタがどれだけ尽くしても、ソイツが本気で誰か女に惚れない限り、ソイツはずっと寂しいやつだぞ?
お嬢さん、アンタは賢い。
アンタ自身が察している通りだ。
悪いことは言わねえ、ソイツから離れちまいな」
鳩尾を抉られるようなこの感覚を、なんと呼ぶのだろう。
やはり、思った通りのことだ。
ディモは私を心配して意見を言ってくれた。
心からの心配だからこそ、私の心をえぐる。
真っ直ぐこちらを見るディモの目には父親のような暖かさがあり、それがさらに私を苦しめた。
居た堪れない気持ちになる。
そうか、他人から見ても、私はリヴァイ兵長と離れるべきなのか。
「そうですね…リーブス会長の、仰るとおりです…」
「アンタのその器量だ。うちのバカ息子を、とは言わねえが、他にいくらでも男がいるだろう。アンタは、アンタを大切にしてくれるような奴と幸せになれよ」