【R18】私の心は私のもの【リヴァイ/進撃の巨人】
第9章 4ヶ月後より前の話
「あ…」
「なんだい?」
「調査兵団は、他の兵団に比べてよく手紙を書きます」
「ほう」
「調査兵団はいつ命を落としてもおかしくないですからね。家族にマメに手紙を書く人がほとんどです。
今日兵団内の手紙を集めていたんですが、みんな便箋や封筒の調達には苦労しているようでした。
仕事上の書類の裏に手紙を書いている人も多いです。
身内の恥を晒すようですが…兵団の本が破られて便箋代わりにされたり、執務室からペンが盗まれることも多々あります。
筆記具は高価なものではないですが、私たち兵士にとっては、消費量の割に買いに行ける店や機会が少ないですので…」
「なるほどな。手紙などの筆記具には考えが至らなかった」
ディモはそう呟くと、息子のフレーゲルと筆記具を取り扱う店について議論を始めた。
やれあそこの店値段が高いだの、やれその店は安定供給が望めないだの、2人の熱心なやりとりを酒を片手にぼうっと聞き流す。
先程まで呆け顔だったフレーゲルも、取引の話となると一丁前に商人の顔になっている。
リーブス会長による英才教育といったところだろうか。
時々グラスを口に運ぶ。
初めて味わうこの苦味が癖になりつつあった。
アルコールがいつもより強いせいか、もう酔ってしまったようだ。
頬が熱い。