【R18】私の心は私のもの【リヴァイ/進撃の巨人】
第9章 4ヶ月後より前の話
ディモに連れられて入った店は、比較的新しい小綺麗な飲み屋だった。
店主はディモの顔を見るなり
「会長!それにご子息も!!
これはこれはどうも!
さあさあ、一番奥のお席へどうぞ!!」
と、激しく会釈しながらカウンターから飛び出して来た。
よっぽどディモに借りのある人なのだろう。
「酒を3つ」
「はい、ただいま!!」
遅い時間なので店内には他に客もいない。
店主はもう就寝の準備をしていたのではないだろうか。
そう思うとなんだか店主が不憫だった。
テーブル席に座るなり、ディモが葉巻を取り出す。
火をつけると葉巻から良い匂いがした。
高級な葉巻だ。
葉巻から出る真っ白な煙をぼうっと眺めているうちに、大ジョッキ3つと、頼まれてもいないおつまみが運ばれて来た。
「さて、お嬢さん。君の所属兵団はどちらかね?」
「調査兵団です」
「なんと。憲兵団と踏んでいたが、そうか、あの堅物団長のところかね」
「ハハ…」
愛想笑いを返す。
エルヴィン団長はリーブス商会からそんなふうに思われているのか。
「それならますますラッキーだったな。
なあお嬢さん。おたくの兵団で必要とされている物はないか?
なるべく大量に需要のある物だ。
調査兵団は特にウチとの取引に慎重でね。
安い葡萄酒をたまに注文するくらいで…
調査兵団とももう少し大きい取引があるといいと思っていたんだ」
なるほど。流石トロスト区で大商会を束ねているだけある。
リーブス会長の商魂の逞しさには見上げるものがあった。
私を呼び止めたのも、新たな取引の糸口を掴むためなのだ。
ディモの隣に腰掛けたフレーゲルも、ようやく父親の行動に合点が行った、という表情をしていた。